段違い平行棒

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 私個人のミスの話が続きましたが、今度は私ではありませんし、ミストーンでもありません。「段違い平行棒」というタイトルで、ハハーンと思い当たる人はそういうミスを経験した人ですね。

 実はこの話は、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮のスペイン国立交響楽団の演奏会での話です。生の演奏を見たのではなく録画です。曲目は、またブラームスの交響曲第4番(僕はブラームスが好きなんだな)ですが、今度は第2楽章。

 オケでクラリネットを吹いている人なら、この2楽章の初めの部分がどういうものかはよくご存じですよね。ホルンの朗々たる吹奏のあとに、クラリネットがゆっくりとしたきれいなテーマを演奏するのです。クラ吹きにとってはとてもおいしいソロです。テクニックも要求されず、かといって、チャイコフスキーの悲愴の第1楽章のようなppppppとかの極端な緊張感も要求されない。

 で、スペイン国立の1番クラ氏は、余裕たっぷりに吹き始めました。なかなか明るく抜けた音できれいでしたが、何を思ったか途中からいきなり2番目のソロのフレーズを吹き始めたのです。そう、楽譜の段を間違ってしまったわけです。それに気づいた1番クラ氏は、大慌てで元に戻しましたが、あわてすぎて指が絡まり?トリルまでつけてしまう2重のミス。

 びっくりしたのは指揮者のブルゴス氏、最初は「ん?!」という表情でしたが、事情がわかると、鬼のような顔で1番クラ氏をじっとにらみつけました。本当に恐い顔をしてましたよ。そのあとの演奏は、指揮者が「壊れて」どうしようもなかったです。

 テレビカメラは、この間の状況をクローズアップ(ソロですからね)で見事にとらえていました。皆さん、テレビに映るときは、十分注意して演奏しましょう。
 それと、自分の演奏に「聴き惚れない」ようにしましょう。恐らく、くだんの1番クラ氏は、自分の演奏にうっとりとなってしまって、ミスッたのではないかと思います。

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2023年12月

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