今月(8月)は、県内では演奏会を聴く機会がありませんでした。そのかわりアマチュアオーケストラのフェスティバル「全国アマチュアアマチュアオーケストラフェスティバル市川大会」を見に行きました。というのも来年は、沖縄でこの大会が開催されるからです。私の所属する沖縄交響楽団と県内のジュニアオーケストラがホストとなりますので、大会の模様を視察してきたというわけです。
1日目が青少年オーケストラの演奏会でしたが、演奏した千葉県少年少女オーケストラや千葉県立千葉女子高校オーケストラのレベルが極めて高く、正直いって大変びっくりしました。特に弦楽器群は人数が多いことに加えて、正確なチューニングと演奏テクニックが相まって、素晴らしい音でした。千葉県は全国でも有数のアマチュアオケ先進県だということで、さもありなんと思いました。
ただ、あまりにも日本的な一糸乱れぬ演奏(子供たちはユニフォームを着ており、ボーイングも完全にそろい、体のゆれもほとんどない)形態には、子供たちの個性があまり見えなくて、少し違和感を感じました。そのあとのJAOユースオーケストラの演奏は、全国から集まった大学生主体のオケということもあると思いますが、演奏のおもしろさと言う点では、やはりこちらの方が上でした。小中高生と大学生の違いなので当たり前と言えばそれまでですが、私はあえて演奏の「自発性」のレベルの差だと言いたいです。
そのJAOユースオーケストラは、ホルストの組曲「惑星」(火星、金星、木星)の演奏が良かったと思います。実は、この曲を生のオーケストラで聴くのは初めてで、とても感動しました。特に、木星では前半のリズムの躍動感や中間部の歌い方が見事で、ハートにジーンと来ました。アンコールで演奏されたエルガー「威風堂々」も素晴らしい演奏でした。
2日目は、いよいよ社会人オケの登場です。彼らは青少年オケと違って、このフェスティバル期間中の練習で音楽を作り上げなければいけないという点で、このあたりをどの程度仕上げていくかに興味がありました。社会人オケは3つ有り、Aオケがボロディンの「交響曲第2番」(指揮:田久保裕一)、Bはレスピーギ「ローマの祭」(指揮:金洪才)、Cはドボルザークの交響曲第7番(指揮:オンドレイ・レナルト)といずれも普通のアマチュアオケでは演奏しない(できない?)曲。もちろん生の演奏を聴くのは初めての曲ばかり。
全国フェスティバルにはJAO(社団法人日本アマチュアオーケストラ連盟)加盟のアマオケからメンバーが集まってくるわけですが、近年アマオケのレベル向上が著しく、またフェスティバルオケの編成が大きい(100人以上)こともあり、演奏曲目もそれにともなっていわゆる通俗名曲ではなく、大編成の曲やあまり演奏されない曲が取り上げられるようになっています。
また、特にレベルの高い奏者がどのオケに集まるかによっても、演奏のレベルが違ってきます。27回目の今回はどうもBオケにレベルの高い奏者が集中したようで、「ローマの祭」は出色のできでした。よくぞ正味2日間の練習でここまで演奏できるものだと思いました。特に金管・打楽器奏者は演奏していていかにも大曲慣れした感じの人たちばかりで、本当にアマチュアなのかな?と疑問も抱くくらい。おそらく「ローマの祭」なんて、生で聴く機会は2度と無いと思うので、今回の演奏会は大変いい機会でした。
他のオケは残念ながら、Aオケはあまりにも曲が悪かった?。Cオケは、曲が難しすぎたという感じです。ドボルザークの第7番が難しいというのは、テクニック的な問題ではなく、アンサンブルがよほどきれいにできないと曲の良さは伝わらないという意味での難しさです。7番はクラリネットが活躍するので私も好きな曲ですが、今回の演奏は、微妙な音のつなぎや表現でよいところが見られず、演奏としては印象が薄かったように思います。ドボルザークはアマオケには手に負えない?
長々と書きまくりましたが、アマオケフェスティバルの本当のよさは、全国から集まってくるアマチュア演奏家と交流できるところだと思います。そういう点では、これまであまり他県との交流、いや地域の中でも交流が少なかった沖縄のアマチュアオケが全国の皆さんと交流できる来年の沖縄大会は、エポックとなるのではないでしょうか。その一つの流れとして、今年の9月5日(日)には、沖縄県ジュニアオーケストラ交流演奏会が開催されます。
来年のアマオケ大会の演奏曲目は、青少年オケがリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」、社会人Aがリヒャルト・ストラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、Bがドビュッシーの交響詩「海」です。いずれも難曲中の難曲、そして本県初演です(だと思います。もしかして違っていたら教えてください。)ので、楽しみです。アマオケ沖縄大会の詳細は、沖縄交響楽団のHPで紹介しています。