リトアニア国立交響楽団演奏会(1999年11月29日)

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 今年ももうすぐ終わりです。少し前に聞いた演奏会ですが、感想を書きます。旧ソ連に属していたリトアニアから来たオーケストラです。沖縄にくる外国オケといえばいつも旧東側のオケですが、やはり今回もそうでした。演奏曲目は、ベートーベン/エグモント序曲、チョルリョーニス/交響詩「森の中で」、ショスタコービッチ/交響曲第5番「革命」、指揮はヨザス・ドマルカス。

 久々の沖縄市民会館でのオーケストラ演奏ということと、リトアニアとはいえロシア風の弾きまくり・吹きまくりの演奏を期待していたのですが、残念ながらはずれでした。最初、エグモントが始まったときに感じたのが、「これがプロ?」。

 アイン・ザッツも合わないし、音も響いてこない。沖縄市民会館といえば県内屈指の音響を誇るホールだと思っていただけに、よけい疑問がわきました。次のチョルリョーニス(この人はリトアニアの人らしい)は、お国ものなのでさぞかし楽しめるだろうと思ったら、これもどうもおかしい。まるで初見大会のような縮こまった演奏に聞こえる。

 ということで、前半の2曲は「何だコリャ」というのが感想。でも、これではこのオケが日本くんだりまで来て演奏できるはずはない。また、沖縄市民会館の音響はこんなものではないはずだ。ひょっとして座った位置が最悪の位置なのかもと考え、後半はステージに向かって右側の席へ移動。

 これが大正解でした。さっきまであれほど貧弱だった響きが、うって変わってダイナミックな音に変わりました。それとともに演奏もレベルが上がったかのような演奏に聞こえてくるから不思議です。おかげで、ショスタコービッチは楽しんで聞くことができました。何年か前に来たサンクト・ペテルブルグのような演奏はさすがに無理でしたが、ショスタコービッチは少々オケが下手でも、それなりに曲を楽しむことができます。

 この演奏会のあと、しばらくしてテレビでショスタコービッチを紹介した番組を見ました。スターリンをはじめとする共産党のイメージアップのための音楽づくりを強制されながらも、独自の音楽を作り出したことが紹介されていて、勉強になりました。私は今まで作曲家の生涯や音楽の背景というものを意識せずに聞いてきたのですが、暗殺や強制収容所送りが当たり前の当時のソ連で、体制に迎合しない音楽を作り続けることの危険を考えると、ショスタコービッチがいかにえらいかがよくわかりました。

 それにしても、この演奏会、後半で席を移っていなかったらどうなったのやら。やはりホールの音響は大事ですね。それと事情はいろいろありますが、もっといろんなオーケストラの演奏が聴ける状況になってほしいと思います。これは沖縄の実状ではかなわぬ願望ですね。

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