県立芸大歌劇「魔笛」公演(2000年11月23日)

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 久しぶりに、演奏会へ行きました。今年の県内最大のクラシックイベントといってもよい沖縄県立芸術大学のオペラ「魔笛」でした。会場は、沖縄市民会館。本格オペラは、久しぶりということもあってか、超満員で立ち見の方がずらっと並んでいたのは壮観でした。

 演目が「魔笛」ということもあり、プッチーニなどのようにお涙ちょうだいの感動は期待できませんが、県芸のオペラということで、水準的には安心して見られるのがうれしいです。

 まず舞台仕掛けですが、結構大がかりでした。一番の特徴は前面に薄い幕があって、すべての舞台がその後ろに設置されていたことです。この幕には、ときおり森や宇宙船などの画像が表示されたり、舞台転換中のときなどに画像が投影される仕掛けでした。ただ、それゆえに直接舞台と出演者が見えないというマイナスも感じました。

 舞台装置は、ザラストロの宮殿などの場面に使われるものが、舞台中央に半円筒形の「檻」のような形で設置され、その「檻」が時折開いたり、両側に分離したりという凝った動きをしていました。また、「檻」の両側には空中に手すり付きの通路のようなものが延びています。「夜の女王」や3人の侍女、3人の童子などはおおかたそこで歌っていました。

 舞台背景などに映像効果を多く使っていたのが特徴です。また、その背景も宇宙をイメージしたものが多く、要するにザラストロの宮殿は宇宙船そのものという感じでした。

 演出の特徴としては、とにもかくにも、沖縄芝居の大ベテラン北村三郎さんの方言による「語り」でしょう。個人としては、そこまでやる必要があるのか疑問ですが、「沖縄県立」という立場と、ストーリーに面白みがないオペラは、こういうふうにせざるを得ないのかとも思います。

 ただせっかくの北村三郎さんの語りも、字幕スーパーを見ないとわからない部分が多かったので、歌のドイツ語、語りの方言の字幕と舞台を見るのに大忙しでした(;´_`;)。沖縄芝居をよく見る人は逆におもしろかったかも。

 パパゲーノがお婆さん(実はパパゲーナ)と珍妙なやりとりをする場面は、以前ビデオで見たときは、お婆さん役が登場しパパゲーノと話をしていましたが、今回はパパゲーノが寝ている間の夢の中という設定のようで、「影絵」になっていました。パパゲーノとお婆さんの会話は、北村さんの語りで表現していました。語りはとても上手でしたが、ここも評価の分かれるところでしょう。

 歌の方は、がんばってはいましたが、やはり高い方(夜の女王)と低い方(ザラストロ)が苦しそうでした。パパゲーノは声の通りもよく、演技もまあまあでよかったと思います。パミーナはいい声でした。この魔笛というオペラは、個人的にどうも夜の女王とパパゲーノしか興味がないもので、その他の役はほとんど聞き流してしまいます。

 オケもよかったと思います。おそらく声もオケもスピーカーのお世話になっていたと思いますが、不自然さはあまりなく、十分だったと思います。ただ、休憩の後、管のピッチが少し乱れたのが残念でした。個人的にはクラリネット(バセットクラリネット?)がなかなかいい音色でよかったのと、パパゲーノのグロッケン(チェレスタ)がとてもよかったと思います。

 最後に苦言。開場5時という案内で、実際は開場5時半と30分も遅れるのははいただけません。しかも外で待っているお客様に何の説明も無しでした。このような「お役所仕事」は許されません。さいわい雨が降らなかったからよいものの、この季節に夕立でも降っていたらと思うとぞっとします。今後このようなことのないよう是非改善願いたいです。

 以上、全体としては満足で、まあこれだけのステージで¥3,800は高くないと思います。引き続き県内企業がこういうクラシック音楽にもどんどんスポンサーになっていただくことを期待しましょう。

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