ワルシャワ交響楽団演奏会(2001年1月21日)

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 今年初めての演奏会はワルシャワ交響楽団演奏会でした。掲示板にも書いておきましたが、「新世界」と「第九」というプログラムにいわゆる音楽通の方は抵抗を感じると思いますが、あえて足を運びました。

 第1にしばらくプロのオーケストラを聴いていなかったこと、第2にプロのオケは「第九」をどのように演奏するのか、客席で聴く「第九」はどのような曲なのか、ということに興味があったからです。「第九」については、私自身は何度も演奏しているのですが、プロのオケの演奏による第九は聴いたことがなかったからです。

 オケは、おなじみ「旧東欧」のワルシャワ交響楽団でした。 といってもこのオーケストラがくるのは初めてだと思います。全く知識がなく、しょうがないのでインターネットで検索してみたところ、なんとアニメ系のCDの録音で有名になってました。実力的には結構よいところなのでしょう。

 今回は合唱団が雛壇に陣取るために、オケの演奏は「地べた」で行われたため、かなり音響が制約されていた気がします。オケの演奏レベルは悪くない水準だと思いました。ホルンの音がよかったのですが、ミストーンが少し目立ちました。全体的には、なんとなく個性にかける演奏だったと思います。

 おそらくマレック・セヴェンという指揮者の性格なのでしょう。そもそもこのような演奏会に出かけて、感動できる「新世界」を聴こうとすること自体が間違っているとは思っていますが。それとこの指揮者の棒は、ときどき変な「拍」の振り分けが入り、何となく演奏者側がついていきにくそうな感じでした。実はその不安が第九で的中するのですが。

 さて、第九です。これは日頃演奏者側にいる私としては、とても興味深く聴くことができました。舞台で演奏する際の第九の「緊張感」が実は客席にはほとんど伝わっていないことがよくわかったのです。これはレコードやCDあるいは演奏会録音でなく、今回の生の演奏会を聴いた上での感覚です。

 第1楽章冒頭の部分から3楽章まで、木管楽器はほとんど吹きっぱなしで、息を抜く場面がありません。特にクラリネットにとって3楽章は、息の長いフレーズが続くやっかいな楽章です。楽譜をひたすら追うだけで緊張しかなり疲れますので、通常はところどころアシスト奏者に吹いてもらうのです。ところが、今回客席で聴くとこのような緊張感が、ほとんど「聞こえない」のです。これは大ショックでした。プロのオケでさえこうなら、ましてや私たちアマチュアの演奏は・・・。

 やはり「第九」の曲の構造や、あるいはベートーベンがそのころ耳が聞こえなくなっていたことによる楽器の使い方なども関係するのでしょうか。個々の演奏云々はしません。「第九」という曲の性格上、細かな演奏上のニュアンスをいってもしょうがないと思っています。ただ、2楽章は快調なテンポでとても楽しく聞けました。アマチュアがあのテンポで正確に演奏するのは難しいでしょう。

  3楽章の途中で、指揮と演奏が合わなくなった箇所があり、あろうことか木管楽器陣の演奏が一時止まった箇所がありました。私は一瞬凍り付きましたが、会場内でどの程度の方がわかったでしょうか。

 しかし、最後に「喜びの歌」で晴れやかに締めくくって終わりです。加えて今回は、地元合唱団が大勢出演していましたので、なおさら「イベント」的性格が強く出たと思います。演奏終了後は、「ブラボー」が連呼され、スタンディング・オベイションの方が大勢いたことを伝えておきます。

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