司馬遼太郎のエッセイ集全15巻のうち、(2)、(3)を読みました。
その中で、印象に残ったものを紹介。まずは、1961年10月~64年10月までのエッセイを集めた(2)から
「関ヶ原は生きている」では、関ヶ原の戦いや、その後の大阪城攻防戦を戦った家系が現代まで(このエッセイ執筆当時)、続いていることに驚きました。大名だけでなくその部下の家系も続いているのはすごい。
「川あさり十右衛門」は、日本歴史上最大の土木家とされている川村瑞賢という人(名前は聞いたことあるような・・・)の、若い頃のはなし。
「江戸遷都秘話」は、明治のはじめ、首都を大阪にすることがほぼ決まっていたのに、江戸に持って行くことになった経緯にまつわる秘話。
「毛利の秘密儀式」は、関ヶ原の戦い後、それまでの領地を1/3に削られ、居城も裏日本の萩に移された。その怨恨が幕末まで続いたのだという。
1964年10月~68年8月までのエッセイ集(3)では、維新こぼれ話ということで、明治維新に関わりのある土地で、あまり表に出ていない史実が興味深く紹介されている。
「薩摩」では、西郷らの出身地。「土佐」では奈半利(なはり)での郷士の処刑、「京」では、古い店に残された刀傷、「長崎」では有名なグラバー邸の話、「敦賀」では水戸天狗党の処刑、などなど。
長編「龍馬がゆく」との関連で、「幕末を生きた新しい女」、「龍馬の死」など。
特に「龍馬の死」は割と長く、暗殺の真相やその後の関係者の動向、残された海運事業を引き継いだ大「三菱」の起こり、維新後忘れ去れさられた龍馬が、日露戦争のころに「復活」させられる話、五カ条のご誓文の由来など、大変おもしろく書かれています。
「京への七口合戦譚」では、鳥羽・伏見の戦いの実相が描かれておもしろい。