2008年(平成20年)の幕開けにふさわしい?「笑えるクラシック」という、本です。本屋さんでついつい題名に釣られて買ってしまいました。
題名はともかく、この本は読みながら笑えるのではなく、読んであとに曲を聞くと、笑えるかも?というものです。
3部に分かれていて、1部に取り上げられているのが、なんと「第九」、「ボレロ」、「英雄の生涯」、「レニングラード」です。
これらの曲のどこが「笑えるのか」という方がほとんどだと思いますが、ヒントとしては、堅苦しく聞くべきではない!というところでしょうか。あとの内容は読んでみて下さい。
演奏する身としては、「第九」しか経験がないのですが、他の曲も大変な難曲であることは間違いないです。それを「笑える」というのは、不謹慎かも、と思いますが、だんだん「なるほど」と思わされ、ひょっとして演奏機会があると、少しは、肩の力が抜けそうな気がします。もちろん、聞く分にも役に立ちます。
第2部は、ユーモアにあふれたオペラの紹介です。これは、ご存じの方には、内容の確認だけでしょう。
今までオペラに親しみのない方には、聞いてみるきっかけになると思います。モーツァルトの「フィガロの結婚」など、超有名なものが紹介されていますので、親しみやすい(笑える)オペラ入門としてよいと思います。
この中で、私のお薦めは、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」です。ベックメッサーという、役柄が笑える役でして、ワーグナーのオペラ・楽劇の中、唯一笑いをとれます。
第3部は、曲そのものが笑いをとれそうな物が紹介されています。
このあたりが、本当に「笑えるクラシック」という感じがします。実は、バッハの「コーヒー・カンタータ」、モーツァルトの「音楽の冗談」、ハイドンの交響曲第60番「うっかり者」、ベートーベンの「なくした小銭への怒り」!など、私もまだ意識して聞いたことのない曲がありまして、勉強になりました。
全体を通して、R・シュトラウスとラヴェルは、かなり気持ちを変えて聞かないと、と思いました。