印象的なタイトルに釣られて購入したのですが、本当の内容は副題の「サイズの生物学」。
つまり、生物のいろいろなサイズとその機能を、特徴的な例を挙げながら、「おもしろく」解説したもの。
私のように「生物」音痴の人間には難解?すぎて、ちょっとだけ読んでほったらかしになっていました。
最近は科学全般の紹介本を読むようになったおかげで、生物関連も慣れたせいか、1994年に購読後、ようやく全体に読むことができました。
全部で14章からなりますが、各章はほぼ独立しているので、どこから読んでもよさそうです。
以下は、興味深かった点
・時間は体重の1/4乗に比例する。体重が10倍になると時間は1.8倍。
この場合の時間は、鼓動・呼吸などの生理的時間で、基本的に体重が重くなるにつれて時間は長くなるが、正比例ではない。
このあたりがメインタイトルの、「ゾウの時間ネズミの時間」、との関わり。
・ほ乳類は、一生の間に20億回の心臓鼓動、5億回の呼吸とほぼ決まっている。
つまり、1鼓動にかかる時間で寿命が決まる。→ できるだけゆっくり呼吸すれば寿命が長くなる?
・古生物学の「島の規則」、大陸と比較すると、島では大型動物は小さくなり、小型動物は逆に大きくなる。
→ なぜそうなるかを考えると、人間の行動にも参考になる?
著者は、これまでは「大陸」の論理が支配しているが、交通機関や情報技術発達により、地球全体が「島」になりつつあるとし、「島」に生きてきた日本人の知恵が人類にとっての貴重な財産となるべきだとしている。
・標準代謝量は体重の3/4乗に比例する。小さな動物が体重当たり代謝量が大きい。
一生に使うエネルギー消費量は寿命と関係なく、体重1kg当たり15億ジュールと一定である。
・車輪動物やスクリュー動物がいない理由 →デイヴィド・ブリンのSF小説「知性化の嵐」シリーズには、車輪生物が登場している、これと合わせて読むとおもしろいかも・・。
・体長1mm以下の生物では、レイノルズ数(慣性力/粘性力)や、分子「拡散」が重要となる。
・生物サイズが小さいと呼吸系・循環系は必要なくなる。「拡散」で呼吸・循環の作用が行われる。
・動物細胞と植物細胞の違い(サイズ、構造)
・昆虫の特徴(クチクラで外敵防衛と水分保持、気管で呼吸、脱皮してサイズ拡大)
気管を持っている昆虫は脱皮が困難なので、サイズ拡大は難しい。カニ類は気管がないので、比較的大きくなる。
・棘皮動物(ウニ、ヒトデ類)は、キャッチ結合組織という硬軟両対応の結合組織を獲得し、独特の進化
などなど。