プーランクの晩年1962年に、ベニー・グッドマンの求めに応じて作曲されました。
友人オネゲルへの追悼の意図もあったのですが、プーランク自身が翌年1963年に亡くなり、ベニー・グッドマンとバーンスタインによる初演(豪華!)は、プーランクの追悼演奏会になってしまったそうです。
20世紀後半に入って作曲されたとは思えないほどわかりやすい曲です。伴奏のピアノもきれいで、クラリネットと掛け合いの部分も多く、そのあたりをうまく生かした(録音した?)演奏が私は好きです。
この曲は7枚のCDがありました。
第1楽章 Allegro tristmente プーランク得意の流れるような旋律。
第2楽章 Romanza この楽章がオネゲルへの追悼。心にしみるメロディーです。
第3楽章 Allegro con fuoco 一転して快活で明るい楽章。
3楽章の途中、練習番号④の1小節前で、楽譜どおりだとミ♭、ファ♯、ファ、ソ♯ですが、メイエとライスターは、2番目をミで吹いています。このほうがやりやすいし、自然な感じなので私もそれでさらっています。
生島繁 どちらかというと現代音楽が得意な人だと思います。この曲の演奏としては私の好みに合いません。また、スラーがきれいに聞こえないのも難点。「Clarinet Scene 1」というCDに入っている。
ポール・メイエ 現代フランスの名人。サン・サーンスのソナタと同じCD「フレンチ・クラリネット・アート」に入っているが、こちらの録音のほうが、柔らかめの音色。エリック・ル・サージュのピアノ伴奏もグッド。お勧め。
シャロン・カム イスラエル出身の女流名人かつ美人系。アメリカの名人チャールズ・ナイディックについた人。この人は割と自由に歌うのが特長で、そこがおもしろい時もありますが、この曲には少し大げさな感じ。ジャズっぽい感じもするので、ベニー・グッドマンはこのような演奏だったかもと思わせるので、好みの人もいるはずです。「シャロン・カム・リサイタル」というCDの1曲。
スタンリー・ドラッカー ニューヨーク・フィルの伝説名人。この演奏はビブラートがかかりすぎていて、あまり好きではありません。
カール・ライスター そつなく吹けてうまいのですが、ライスター独特の丸い音が、おとなしい演奏に感じさせます。
リチャード・ストルツマン 例によって、全体に遅い。ビブラートもかなりかかり、やはりアメリカっぽい演奏。
岸原千佳 外国ARTSレーベルの「CLARINET XX Vol.2」に入っている録音。有名奏者ではなく、どんな演奏者かよくわからないのですが、柔らかめの音で、演奏もオーソドックスかつ、上手です。私が演奏したい雰囲気に一番近いので、これもお勧め。