ヴェネツィア共和国千年の歴史を描いた塩野七生の傑作「海の都の物語」(上・下)を読みました。以前から興味があった本ですが、評判どおりとてもおもしろく読めました。
今までヴェネツィアに関しては水の都ベニス、ゴンドラくらいしかイメージがなかったのですが、この本を読みその壮大な歴史に感銘を受けました。
異民族の襲撃を避け干潟内の島々に逃げ込んだあと、段々と地中海最大の貿易依存都市国家として成長する様子、共和国制を最後まで維持した独特の政治・外交、トルコなどとの海戦、巧みな経済政策、書籍出版・音楽や演劇など市民文化の数々。どれをとっても大変おもしろいです。
そうそうかの有名なヴィヴァルディはヴェネツィアの音楽家なんですね。また、オペラの草創期に重要な役割を果たしたモンテヴェルディも晩年はヴェネツィアにいました。
全体を理解するには、地図帳必須です。読み進むうちに必要性が痛切になり、ついにオークションで地図帳を購入しました。また、Google Earthも役立ちました。
以前読んだ「コンスタンティノープルの陥落」は、この本関連3部作の一つで、他に「ロードス島攻防記」、「レパントの海戦」がありますので、どうやら読書では、しばらく地中海を彷徨うことになりそうです。
この本のカバー絵の旗ですが、イタリア国旗の白部分に模様が入っています。これがどんな旗なのか、そして模様が何を意味するのか、本の中に書かれています。よく考えられたカバーデザインだと思います。