塩野七生の傑作「海の都の物語」の関連3部作の最後は、オスマン・トルコ海軍とキリスト教諸国連合艦隊の海戦を描いた「レパントの海戦」です。
レパントはギリシャのペロポネソス半島つけね部分にあります。1571年10月ここで歴史に残る大海戦が戦われました。
無敵と思われたトルコが負けましたが、勝ったなかでもヴェネツィアは無理がたたり、その後段々と勢いが弱くなりました。時代は地中海から新大陸と大西洋に流れが変わっていったのです。
作者は、ヴェネツィアに残された詳細な記録をもとに、大海戦の状況はもちろん、前後のいろいろな政治状況をも詳細に描写しています。
またトルコ駐在大使や、ヴェネツィア艦隊参謀長などに焦点をあて、創作部分も交えて、戦いに参加した人たちの人間的な面も描いています。
さらに、一枚岩とはいえないキリスト教諸国、特にスペインの思惑なども浮かび上がらせており、大変おもしろく読めます。