東大合格者数日本一を誇った灘校。私には全く縁がない世界だったのですが、意外なところでつながりました。
中勘助「銀の匙」の世界を、中学課程の3年間かけて教えた先生がいたのです。新聞でこの本の紹介を読み、すぐに注文しました。その先生は、橋本武。
教科書使わない、3年もかけて一冊の本しか勉強しない。いったいどんな授業だのか興味津々でした。「銀の匙」に出てくる当時の生活風俗や、古典文化世界を、常に脱線しながら、実際に味わってみたり、遊んでみたり、研究してみたりという授業だったようです。
「銀の匙」は、確かに脚注がすごく、一語一語脚注で確認しながら読み進む感じでした。この本の著者、伊藤氏貴が書いていた思いますが、大学時代の原書講読の雰囲気のおもしろバージョンですか。
おそらく灘の生徒だからできることとは思いますが、それにしても毎回脱線用の?いろんなプリントを用意したはずなので、大変なことだったろうと思います。
そのような教師の熱意と日本一頭のよい子供たちが結びついて、このような授業ができたのでしょう。私自身の中学時代には全く考えられない内容です。
私は何十年もかけて、ようやくこの教室の初期段階にたどり着いたと思いますが、それも奇跡かも・・。こんな授業があったということで、ちょっとうれしく感じました。