潜水艦気質よもやま物語

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潜水艦気質よもやま物語 
 旧日本海軍の潜水艦伊25号に聴音担当として載っていた槇幸という方の本。

 基本は潜水艦戦闘の記録であるが、わかりやすく書かれており、所々ユーモアも交えていて面白く読める。旧日本軍に関する読み物は、一般的に陸軍の話はみじめな物が多くてあまり読む気が起こらないが、海軍の飛行機物や艦船物は悲惨な中でも、メカの話が出てくるので大好きだ。

 旧日本軍というと、まずは陰湿な体罰やしごきなどが思い浮かぶのだが、潜水艦だけは例外だったという。それは、潜水艦特有の「死なばもろとも」という特殊な状況から来ているらしい。

 伊号クラスの潜水艦は一番多く作られ、活躍したようだ。排水量1,000トン以上、長さ100m程度、乗員110名、水上速度23ノット。

 著者は伊25号に1年近く乗り込み、3回の作戦出撃をし、ハワイ奇襲攻撃、オーストラリア方面偵察、アメリカ本土爆撃など体験している。1回の出撃で2ヶ月ほど乗りっぱなしというのがすごい。それだけの燃料や食料など積み込めるわけだ。

 伊号クラスには飛行機を積んでいて、偵察や爆撃ができた。このあたりの話は、ドイツのUボートなどの話には出てこない。もちろん、潜水艦なので、魚雷攻撃や爆雷の話は登場する。

 著者はまだ日本が勢いが残っているうちに、潜水艦から降りたので生き残った。伊25号はその後沈没したらしい。日本の潜水艦は、ドイツなどと違って、戦艦大和に代表される、艦隊決戦用として用いられ、通商破壊や船団護衛には用いられなかったので、犠牲ばかり多くて効果が上がらなかったとしている。

 現在の海上自衛隊の潜水艦はどうなっているのかちょっと興味が湧いた。

 

 
 

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