井上靖の自伝的小説「しろばんば」を読みました。小学生時代両親と離れ、伊豆の山中で、血のつながりの無い「おぬい」ばあさん(祖父のめかけ)と蔵の中で暮らしたいろいろな出来事を綴ったものです。前に読んだ「あすなろ物語」の最初の部分を膨らませた小説です。
大正時代の伊豆山中の小学校の様子や集落の生活、行事、子どもたちの遊び、伊豆から沼津を経て、両親のいる豊橋への旅、義祖母や親戚との自然なつながりと、離れて暮らす両親との少しぎくしゃくした関係。年老いたおばあさんとの必然的な別れ。日本の古い懐かしい生活のありように、読んでいて癒やされました。
例によってグーグルマップのストリートビューなどで実際の場所も確認しながら読めますのでgoodです。