2007年以降演奏会の最近の記事
1年後の感想で申し訳ありませんが、せっかく感想も書いたし、選曲もなかなかの演奏会だったので・・。
2010年9月3日うるま市民芸術劇場燈ホール、クラリネット新垣亜貴子、ピアノ森川久美子。ご両人ともドイツに留学した方で、新垣さんは今でもドイツで活動しているそうです。
「ドイツの風にのって」という副題のとおり、すべてドイツ音楽です。選曲は、かなり「通」向きでした。
ブルグミュラー(弟)の「クラリネットとピアノのための二重奏」、ヒンデミット「クラリネットとピアノのためのソナタ」、ベルク「クラリネットとピアノのための4つの小品」、レーガー「クラリネットとピアノのためのソナタ第2番」
新垣さんは前半緊張気味で、すこし不安定な部分もありましたが、後半はしっかり吹いていました。楽器はクランポンだと思います。
ピアノの森川さんもきちんと弾いていてなかなか実力のある人だと思います。
ヒンデミットのソナタは割と演奏しやすく、私もときどきさらっています。今回期待して聞いたのですが、個人的には、もう少しテンポ感やボリュームの変化をつけたメリハリのある演奏が聴きたかったです。
印象深かったのは、ベルクでした。フラッターも使う、割と現代的な大変難しい曲ですが、技巧的にも音楽的にも素晴らしかったと思います。
レーガーのソナタは、今回の曲の中で、一番動きが少ない曲で、残念ながら、この曲は私には今のところ「理解」できません。
しかし、今回プロの方の演奏を聴いてレベルの高さに改めて感動しました。他のプロ奏者の方々も積極的にリサイタルをしていただければと思います。
2009年8月19日てだこ小ホールで、ベルケシュ砂川亮子さんのVnリサイタルを聴きました。
ベルケシュさんのVnの音色は、細身ですが大変きれいな音です。去年の「東京ブダペストアンサンブル」の演奏会でのフランクが良かったので、沖縄交響楽団定期演奏会のソリストとしてお呼びし、メンデルスゾーンのVn協奏曲を弾いていただきました。
今回は、「4大Bの夕べ」と題して、バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番、ベートーヴェン/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第5番「春」、ブラームス/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番、バルトーク/ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ1番を演奏。
今回、前半のバッハ、ベートーヴェンまでは、緊張のせいか少し乗りが悪かったかな?と思いますが、後半のブラームスと、バルトークは、聴き応えのある素晴らしい演奏でした。
砂川聖子さんのピアノもVnと息のあったピアノでとても良かったです。
演奏家は大変だと思いますが、このようなリサイタルがもっと県内で聴けるようになるといいなと思います。
2009年10月8日開催の演奏会録画を見ました。28歳にして名門ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就任した、ドゥダメルの就任記念コンサートです。
曲目は、ジョン・アダムスのシティ・ノワールと、マーラーの交響曲第1番。シティ・ノワールは委嘱作品のようです。素晴らしかったのはやはりマーラー1番。
1楽章の静かな出だしから、4楽章の盛大なフィナーレまで、名門オーケストラの最良の演奏を引き出した素晴らしいマーラーでした。
ドゥダメルの前任は、エサ・ペッカ・サロネンだったと思いますが、一度録画を見たかぎり、とても厳しそうな雰囲気でした。
対照的にこの演奏は、楽団員も緊張の中に楽しんでいる雰囲気も見られました。このあたりが、ドゥダメルの特徴なのでしょう。
NHK芸術劇場(12ch)で、今年(2009年)9月に来日したズービン・メータ指揮ウィーン・フィルの演奏会録画を見ました。
曲は、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」と、ベートーヴェン交響曲第7番。
バルトークの「オケコン」をウィーン・フィルが演奏するとどうなるか・・に興味があったのですが、演奏よりも出演メンバーを見てびっくりしました。何とコンサートマスターを始め、あちらこちらに女性がいる(といっても数人)ではありませんか・・。唯一男だけの世界だったウィーン・フィルもついに陥落したわけです。
バルトークの木管トップは若返りメンバー。特にクラリネットトップはすごいハンサムで、うまいのですが、伝統的なウィーン・フィルの音ではないような気がします。
ウィーン・フィルのオケコンの演奏そのものは水準は超えているのですが、すごい!と思わせるものはありませんでした。これはメータの落ち着いた指揮の特徴も反映しているのでしょう。
ベートーヴェン7番は、もちろん十八番なので、安心して聞けるのですが、逆に緊張感なさすぎか。クラリネットトップは変わって最長老のペーター・シュミードルだったと思いますが、今では完璧「太りすぎおじいさん」。今回の録画からは、今まで感じていたウィーン・フィルの良さが感じられませんでした。
ジョーカーがずっと顔を出しているのは私も怖いので、早めに更新・・・(^_^)
5月3日(日)に、大勝秀也さんを指揮・代表に迎えているアンサンブル響の演奏会を聞きました。場所はシュガーホール。曲目は、グリーグ/ホルベルク組曲、モーツァルト/セレナータ・ノットゥルナ、バッハ/ゴルトベルク変奏曲
アンサンブル響は、県内の弦楽器奏者を主体とした弦楽アンサンブルです。はじめて聞きましたが、なかなかよい演奏でした。
グリーグはすがすがしい曲で、北欧の響きが耳にとても心地よい演奏。モーツァルトのセレナータは、昔レコードでよく聞いていたものでした。弦楽以外にティンパニだけ入るのが変わっていますが、聞いていると、弦楽器の音の中からトランペットの音色が聞こえてくるので不思議です。ひょっとして私の聞いたレコードはTpがはいっていたのかも・・・。
後半のゴルトベルク変奏曲はバッハの名曲です。本来ならチェレスタあるいはピアノの曲。今回は、指揮者の大勝さんが弦楽合奏に編曲したものを聞きました。
問題は、私は変奏曲を聞くのが苦手で、その中でもこの曲は大の苦手です。有名なグールドのCDでも、私は途中で眠くなります・・ので、今回は最後まで聞く自信は全くありませんでした。
案の定、数曲目くらいで目を閉じるようになりました。ところが、我慢して聞いているうちに、おそらく半分すぎくらいから、段々と雰囲気がわかってきました。
ピアノだと一つの楽器から音が出てくるわけですが、今回は弦楽アンサンブルなので、楽器の違いにより、左右、時には前後、そして音域がきちんと分かれて聞こえます。
その効果を意識して編曲されているのが感じられました。なるほど・・・と思い始めると、集中して聞くことができ、後半は楽しく聞けました。
久々に音楽の話題。この長い名前のオーケストラをすでに知っている人は、かなりのクラシック通。まだ知らない人は、必見・必聴です。
昨年末の初来日演奏会を一部だけNHKBSで見ました。ほぼ終了間際で、チャイコフスキー5番の最終楽章でした。
まずメンバーが若い(当たり前か・・・)のに、ものすごくうまいのにびっくり。指揮のグスターヴォ・ドゥダメルもすばらしい指揮。
メンバーがお互いに顔を見合わせ(アイ・コンタクト)ながら、とても楽しそうに演奏しているのが印象的。
アンコール1曲目は、バーンスタインのウェストサイド組曲から、確かシンフォニック・ダンス。これが・・・、すごい!。難曲なのに、彼らは演奏しながら体はほぼ踊っている。楽しそうに、しかも簡単そうに、そしてとてもうまく演奏している。このオーケストラはいったい何なんだ・・。
アンコール2曲目は、南米の作曲家(確かヒナステラ)の曲だったが、バーンスタインにもまして難曲風。ところが、これもいとも簡単に演奏する・・・ばかりか、最後はほぼ全員が演奏しながら、踊り出すは、楽器はくるくる回すは・・・。
指揮者は、皆が踊り出したら退場してしまった。そしてその後も、難しいはずの曲は一糸乱れず演奏されていた。
いやー、ぶったまげました。もちろん、聴衆は最高に盛り上がり、ほぼ全員スタンディング・オベーション。
Web検索すれば、なぜこのオーケストラがすごいのかわかります。まだ知らない人は是非検索してみましょう。
ちなみに指揮のドゥダメルは、今年若干29歳でとロサンゼルス・フィルの音楽監督就任とのこと。
2009年1月12日にパレット市民劇場で開催。去年も聞いたクラリネットのカールマン・ベルケシュの主催するアンサンブルで、ほかに奥さんのVnベルケシュ砂川亮子、Vaシャーンドル・ナジ、P阿久澤政行というメンバー。
曲目は、モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲No.2変ロ長調、同じくケーゲルシュタット・トリオ、フランクのヴァイオリンソナタ、バルトーク/コントラスツ。
1曲目の二重奏曲はVnの砂川さんがあまりさらっていないのでは?という感じ。Vaは上手でしたが、Vnがどうもぎこちなく聞こえました。
ケーゲルシュタット・トリオは割と有名なクラリネット、ヴィオラとピアノの三重奏です。ピアノが結構上手でしたし、ベルケシュはうまくヴィオラにあわせボリュームコントロールをしていて、アンサンブルとしてよかったと思います。楽しく聞けました。ベルケシュの音色は、いわゆる「きれいな」音ではなく、明るめでよく響く音です。私はこの手の音は好きです。
フランクのVnソナタは超有名曲。1曲目のモーツァルトのおかげで少し心配でしたが、こちらはきちんと演奏していて、Vnがきれいでした。ピアノはときたま大きい箇所もありましたが、全体はすばらしかったと思います。今回の演奏会の中で一番印象に残りました。
最後はバルトークのクラリネット、ヴァイオリンとピアのための三重奏。「コントラスツ」という名前が付いています。バルトークらしい速いパッセージや、民謡主題が特徴です。有名な「オーケストラための協奏曲」に似た響きが聞こえてきます。
この曲は超難曲です。バルトークがアメリカに渡ってからの作曲で、あのベニー・グッドマンが作曲を依頼したらしいです・・・・。ベルケシュはハンガリー出身なのでバルトークはお手の物です。息のあったよい演奏でした。
おもしろかったのはプログラムの演奏者名表記。ハンガリーは、日本と同じく姓名の順で表記するのが正式なのですが、演奏者名は通常に、カールマン・ベルケシュと欧米風でした。ところが、プログラムに掲載されていた駐日ハンガリー大使の挨拶ではさすがに、ベルケシュ・カールマンと表記されていました。
嶋津与志原作、平田大一演出の現代版組踊「肝高の阿麻和利」(きむたかのあまわり)を見てきました。2008年6月15日(日)、場所はうるま市勝連のきむたかホール。
旧勝連町において創作された、中・高校生のみによる出演、演奏で行われる沖縄版ミュージカルです。2000年3月以来実に、通算123回の公演を重ねてきたそうです。
知人に誘われて今回初めて見ましたが、よく練られていて、さすがに数々の公演を重ねてきたのが実感できます。
中・高校生たちはきちんと練習しており、演技はもちろん、歌、踊りまで大変素晴らしいものでした。
わかりやすく感動的なストーリーに加え、沖縄ポップス系の歌、勝連のエイサーや芸能、そして現代のダンスが見事に融合しています。今回の出演者では、阿麻和利役の高校生(登川航君)がすごくはまっていて、格好いいです。
劇の演出も素晴らしいのですが、カーテンコール終了後、阿麻和利など、主要キャストが舞台から降りるとき、ステージセットの「勝連城」に向かい、きちんと一礼してから降りてくるのです。ブラボーです。
出演の中・高校生は、終了後もホールの前庭で、歌ったり踊ったりして大変な興奮状態、若いっていいですね!
今回は、ウチナーンチュの芸能特性のすばらしさを再認識しました。
2月に吹奏楽団「すい」、3月に那覇高校吹奏楽部定期演奏会、そしてつい先日、昭和薬科大付属高校・中学吹奏楽部定期演奏会と、3つに吹奏楽演奏会を聞きました。
全体のサウンドでは、圧倒的に那覇高校の練習豊富な90人編成が素晴らしかったです。クラリネットと低音楽器が質量ともに大変充実しています。個々の曲は印象に残っていませんが、ホール全体が音に包まれる感じのサウンドが心地よかったです。
あとは、曲がもっと印象に残るような演奏・・・・ですね。
「すい」は、一般バンドですが、金管も木管も上手で、演奏自体は良かったと思います。・・が、会場が小さすぎて、金管のフォルテが耳に痛く、また、ステージ奥に配置されたTimなどパーカッションがほとんど聞こえず、せっかくの演奏が生かされていませんでした。那覇市民会館あたりを使用するべきだと思います。
指揮者解説入りの演奏が興味深かったですが、特に「マンハッタン交響曲」というのは、ガーシュインの「パリのアメリカ人」の、逆のような曲で、おもしろかったです。
昭和薬科大付属は、去年日本音楽コンクールクラリネット部門の2位だった川上君がゲスト出演なので、聞きに行きました。残念ながら、バンドでモーツァルトの協奏曲を伴奏するのは、かなり無理がありました。
全体に、単に楽譜を吹いているという感じの演奏でした。「だったん人の踊り」などのクラリネットは、割と指は動いていますので、指揮者がもっと音の出し入れや、アクセントの付け方など音楽の表現について指摘すれば、かなり良くなるのでは?と思いました。
良かったのは、これもゲストでしたが、全日本アンサンブルコンクール金賞受賞の浦添市吹奏楽団打楽器アンサンブル。バスマリンバ?を中心に、ステージ上に打楽器がずらりと並び、見た目もすごいですが、演奏も素晴らしかったです。これほどまでに打楽器で音楽を作れるのかと、驚きました。
3つの演奏会を聞いた感じとして、楽しさやサウンドという点では、吹奏楽もよいなと思いました。ただ、昔私がかかわっていた時のような、オーケストラ音楽の編曲版演奏がほとんど無いのは残念です。