今年初めて聞いた演奏会は、沖縄県立芸術大学(以下、県芸)のオケでした。指揮は、手塚幸紀。曲目は、モーツァルトの交響曲第40番、ガーシュインのピアノ協奏曲、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)でした。あとの2曲は恐らく県内初演だと思います。もし違ってましたらご指摘ください。
県芸のオケは県内で一番演奏レベルの高いオーケストラです。以前は私の所属する沖縄交響楽団でした(^_^;)。もちろんプロと比べたら物足りない面はありますが、結構楽しめます。モーツァルトの40番(プログラムによるとこの呼び方はもう古いそうです)は、弦楽器陣の数もそろってますし、まとまっていてなかなかきれいでした。あとは、もっと全体にリズム感のある演奏ができれば、素晴らしい演奏になると思いました。
おもしろかったのはガーシュインのピアノ協奏曲。こんな曲があったなんて知りませんでした。3楽章の本格的なコンツェルトです。ピアノは学生の方でしたが、オーディションで選ばれただけあってとても上手でした。伴奏のオケもジャズ調の雰囲気をちゃんと出していてよかったと思います。ときどき「パリのアメリカ人」やら「ラプソディー・イン・ブルー」の音が聞こえてくるのは当然ですか。CDのコレクションに加えてもいいなという曲でした。
でも私の最大の関心はやはり「火の鳥」です。じつは私も大学時代に演奏したことがあり、思い出のある曲です。前半はクラリネットに派手なクロマチック音階があり、手をやいたことを思い出しながら聞いてました。ただ、ホールの音響の悪さもあって、ストラヴィンスキー特有の不気味な雰囲気があまり伝わらないですし、聞き手をずいずい引き込む色彩豊かな管弦楽という感じもいまいちでした。ファゴットとホルンのソロは上手でした。
この曲は本来バレエ音楽ですから、踊りがあったら恐らく違う印象を受けるはずですし、また、別のホールで聞けば、もっとよい演奏に聞こえたでしょう。火の鳥のようなダイナミックな音響効果が必要な曲は特に。
県立芸大のオーケストラ定期は初めて聞きました。指揮者もプロの指揮者ですし、沖縄では滅多に聞くチャンスのない曲が演奏されますが、その割に聴衆が少なかったのが気になります。オーケストラ定期は器楽専攻の学生のための教育プログラムということで、あまり聴衆が入る必要はないのかもしれませんが、演奏レベルからすればホールを満員にしてもおかしくないはずです。
フルオーケストラの演奏を聴く機会が少ない沖縄の状況を考えると、県芸のオケが立派な演奏をしているということを、大いに宣伝して、もっとたくさんの人に聴いてもらうべきではないかと思います。
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