飯森範親指揮、県立芸大オーケストラで、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリア」を聴きました。会場は沖縄市民会館。 実は、2月にも県立芸大の演奏会を聴きましたが、そのときは何を演奏したかも忘れてしまうくらい、印象の薄い演奏会でした。
今回の演奏会は、いろんな意味で記憶に残る演奏会になりました。さすがにメンデルスゾーンの気合いの入った大作です。独唱8人、合唱、金管フル編成のオーケストラ。全部で48曲、第1部・第2部をあわせて2時間を超す演奏時間。合唱とソロ、重唱、オーケストラの掛け合いがとてもおもしろかったですし、演奏も良かったです。
生演奏はもちろん、CDなどでも聴いたことはなく、「初体験」ですが、「エリア」の名前はよく目にしていましたので、いったいどんな曲なのだろうと思っていました。要は、キリスト登場以前の旧約聖書の預言者エリアを主人公にした宗教曲です。メサイアと同じようにストーリーのある曲なので、歌詞を追いながら聴いていけば、舞台と演技のないオペラのようなもので、とてもおもしろく聴けます。
第1部はバールという異端の神様を信じた人たちとエリアの対決。第2部は荒野に追放されたエリアの描写という感じで、最後は当然キリスト教の神が異端を追放するというストーリーです。しかしながら、私は無宗教ですし、特に第1部はあまりにも黒か白かという感じで、正直言ってついていけません。音楽はすばらしいと思いますが、去年の911事件や、パレスチナ問題などを考えると???です。
そのせいで2部を聴くのはやめようかなとも思ったのですが、せっかくの機会なので我慢して最後まで聴きました。幸い、2部は逆にエリアが追放されてしまうということになり、1部での印象がだいぶ薄らぎました。
指揮の飯森さんは、丁寧かつ大きな身振りでこの大曲をコントロールしており、良かったと思います。ソリストではエリア役を歌ったバリトンの声量が申し分なく出ていて、もう少し地声的な面が薄れ、音程のコントロールが良くなればかなりのものです。他の独唱者ではテノールトップは雰囲気は出ていましたが、声の伸びがもう少し欲しいところ。アルトⅠが残念ながら?でした。
年末に良く演奏されるメサイアとの違いは、ソリストたちの重唱があることです。これがときにハッとするほどきれいだったのが印象に残っています。また、合唱とオーケストラも熱演だったと思います。その中で、特に私的には、クラリネットトップは久々に納得する音でした。エリアでは、かなりクラリネットが多用されていたと思いますが、今回のトップ奏者は、音色が私の好きな「芯のある太めの音色」で、オーケストラの中から浮かび上がり、会場によく響いていました。
それにしても・・・
今回エリアを聴いて、またまた、キリスト教音楽のある意味での「こわさ」を思い知らされました。現代のように情報過多の時代ではなく、キリスト教会が唯一の情報手段だったような時代に、このような曲を聴かされたら、これは「洗脳」以外の何者でもない。実は、私自身、メサイアや今回のエリアを聴いていると、ついつい心臓がドキドキしているのを感じるのですが・・。皆さんも「洗脳」されないように気をつけましょう。
とにもかくにも、このような大曲を聴かせて頂いたことに感謝申し上げます。大感謝!!
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