戦争で読む「ローマ帝国史」

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 柘植久慶のこの本は、ローマの歴史1200年が行った63の戦争について簡単な説明を加えた物です。

 単なる事実の羅列のみで、あまり取り柄もない本ですが、この本を読んで、ようやく明確にできたことがあります。

 ローマ国ができてから、戦争があるのは当たり前だった。1200年間に60回、単純に割り算すると、20年に1回起きている。

 戦争がないときは、次の戦争に備えて兵力・国力を蓄える。でないと次に負けてしまう。

 相手を滅ぼした場合は別として、戦争終了後、領土の割譲や賠償金など、なにがしかの約束・取引がなされる場合があるが、ちょっとでも油断すると立場が逆転する。

 国同士の戦争については、ほぼ似たような状況が、有史以後第2次世界大戦まで続いていたわけだ。

 しかし、核兵器の登場により、戦争のありようはがらりと変わり、これまでのように、気軽に戦争を始めることは不可能になった。当事国はもちろん、人類全体が滅びる危険性が出てきたからである。

 これに加え、ソ連など共産主義諸国の崩壊と、中国の資本主義的変化により、当事者国が理性をもつ限りにおいて、大国同士の大規模戦争の可能性は、ほぼ無くなった。

 現代は、有史以前から続いていたであろう、征服戦争がほぼなくなったと言う点で、人類史上きわめてまれな時代である。

 しかしながら、核兵器が普及しすぎてしまい、一部独裁的国家に利用される可能性が高くなった。そしてその標的は、ローマと同じように世界支配を確立したアメリカである。

 アメリカが9.11以後行っている、なりふりかまわぬ戦争の意味がわかったような気がする。

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このページは、が2007年5月10日 20:11に書いたブログ記事です。

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