司馬遼太郎エッセイ集第4巻。1968年9月~1970年2月までのエッセイです。去年読んでましたが感想を書きそびれてました。興味深かったものをいくつか紹介。
「歴史の不思議さ-ある元旦儀式の歌」
国歌「君が代」の成立事始めです。この歌詞自体はかなり昔からあり、全国でいろいろな形で使われていたようですが、何と、徳川幕府の大奥でも元旦の儀式にこの歌詞が使われていたらしい。そして、明治政府成立当初、英国からのお客さんをもてなす音楽がないので、旧幕府の役人だった人が思いつき、接待音楽として使われたのが、いつのまにか国歌になったそうな。
このような経緯で日本の国歌が決まってしまったなんて、憲法と同じように見直すべきでは?
「ある情熱」
洋服屋の修行で渡米した文倉平次郎が、サンフランシスコで幕府軍艦咸臨丸乗組員の墓を見つけたことがもとで、いろいろ調べはじめ一生を費やして咸臨丸のことを調べ上げ、一冊の本にまとめたこと。
「アメリカの剣客-森寅雄の事歴」
この巻で一番感動したのがこのエッセイ。会津藩最後の剣客の血を引き、剣道日本一の実力をもつにもかかわらず、昭和初期に単身アメリカにわたり、フェンシングをも極め、オリンピック代表米国フェンシングチームのコーチも努めた人の話です。
「日本史から見た国家」
明治以後太平洋戦争終了までの大日本帝国は重い国家で、本来の日本人にはそのような重い国家(独裁体制?)は向いていない。これからは魅力ある国家像(モデル)を自分たちでつくらなければならない。
そのためには、市民社会教育をしなおす、ことが必要と言ってます。
私の理解としては、税金の使い道を国民が把握し、コントロールできる社会という感じでしょうか。まさに今問題となっている、年金、談合などの問題ですね。
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