2007年5月アーカイブ


 2001年1月にブッシュが大統領に就任してから今年初めくらいまでの、アメリカ外交の経緯がわかりやすくまとめられているのが特徴。

 当初ブッシュはネオ・コンサーバティブと呼ばれるグループの政策を採用したため、イラクに集中し、イランや北朝鮮は無視したため、両国に勢いを与えてしまった。
 イラク民主化については、楽観的な見通しから、イラクの現状に合わない対応策とってしまった。

 結局イラクがうまくいかず、2006年の中間選挙で共和党が大敗したので、ネオ・コンサーバティブグループが政権から去り、ようやく政策転換が図られつつある。北朝鮮やイランとの対話促進という方向を示唆しており、実際に5月現在その方向に動いている。

 2008年の大統領選挙では、共和・民主両党とも中道・現実派の候補者にしぼられると予想しているが、当然のことだろう。
 され、それまでにイラクやアフガニスタンは、どうなっているのだろうか。


 司馬遼太郎のエッセイ集第6巻を読みました。1972年4月~1973年2月までのエッセイが入っています。

 特に興味深かったのは、日本軍の戦車の話。司馬遼太郎は学徒動員で満州の戦車隊に配属され、終戦時は幸運にも関東地方にいたそうです。おかげで私達は彼の文章を読むことができる。

 この第6巻には、「戦車・この憂鬱な乗り物」、「戦車の壁の中で」、「石鳥居の垢」と戦車搭乗兵だったころの話が3つもあります。第2次大戦当時の外国戦車と比べて、比較にならないほど弱かった日本軍の戦車や、それを運用する本人や兵隊たちのエピソードなど。

 びっくりしたのは、当時の兵隊は、自分たちの戦車は弱いと知っていて、それに対する不満を直接口にすることがなかった(できなかった?)ということです。その当時の日本という国の異常なところが、ここにも見えるということでしょうか。

 また、日露戦争を中心に描いた長編「坂の上の雲」を書き上げた当時の彼は、その「あとがき」や、「日露戦争の世界史的意義」など、日露戦争と太平洋戦争の戦争指導者の違いを指摘したりしています。

 他に興味深かったのは、画家ゴッホが、一途な性格からくる世間とのいろいろな衝突の中から、絵を描くようになった経緯を明らかにした「ゴッホの天才性」。


 司馬遼太郎エッセイ集第4巻。1968年9月~1970年2月までのエッセイです。去年読んでましたが感想を書きそびれてました。興味深かったものをいくつか紹介。

 「歴史の不思議さ-ある元旦儀式の歌」
 国歌「君が代」の成立事始めです。この歌詞自体はかなり昔からあり、全国でいろいろな形で使われていたようですが、何と、徳川幕府の大奥でも元旦の儀式にこの歌詞が使われていたらしい。そして、明治政府成立当初、英国からのお客さんをもてなす音楽がないので、旧幕府の役人だった人が思いつき、接待音楽として使われたのが、いつのまにか国歌になったそうな。
 このような経緯で日本の国歌が決まってしまったなんて、憲法と同じように見直すべきでは?

 「ある情熱」
 洋服屋の修行で渡米した文倉平次郎が、サンフランシスコで幕府軍艦咸臨丸乗組員の墓を見つけたことがもとで、いろいろ調べはじめ一生を費やして咸臨丸のことを調べ上げ、一冊の本にまとめたこと。

 「アメリカの剣客-森寅雄の事歴」
 この巻で一番感動したのがこのエッセイ。会津藩最後の剣客の血を引き、剣道日本一の実力をもつにもかかわらず、昭和初期に単身アメリカにわたり、フェンシングをも極め、オリンピック代表米国フェンシングチームのコーチも努めた人の話です。

 「日本史から見た国家」
 明治以後太平洋戦争終了までの大日本帝国は重い国家で、本来の日本人にはそのような重い国家(独裁体制?)は向いていない。これからは魅力ある国家像(モデル)を自分たちでつくらなければならない。
 そのためには、市民社会教育をしなおす、ことが必要と言ってます。
 私の理解としては、税金の使い道を国民が把握し、コントロールできる社会という感じでしょうか。まさに今問題となっている、年金、談合などの問題ですね。


 柘植久慶のこの本は、ローマの歴史1200年が行った63の戦争について簡単な説明を加えた物です。

 単なる事実の羅列のみで、あまり取り柄もない本ですが、この本を読んで、ようやく明確にできたことがあります。

 ローマ国ができてから、戦争があるのは当たり前だった。1200年間に60回、単純に割り算すると、20年に1回起きている。

 戦争がないときは、次の戦争に備えて兵力・国力を蓄える。でないと次に負けてしまう。

 相手を滅ぼした場合は別として、戦争終了後、領土の割譲や賠償金など、なにがしかの約束・取引がなされる場合があるが、ちょっとでも油断すると立場が逆転する。

 国同士の戦争については、ほぼ似たような状況が、有史以後第2次世界大戦まで続いていたわけだ。

 しかし、核兵器の登場により、戦争のありようはがらりと変わり、これまでのように、気軽に戦争を始めることは不可能になった。当事国はもちろん、人類全体が滅びる危険性が出てきたからである。

 これに加え、ソ連など共産主義諸国の崩壊と、中国の資本主義的変化により、当事者国が理性をもつ限りにおいて、大国同士の大規模戦争の可能性は、ほぼ無くなった。

 現代は、有史以前から続いていたであろう、征服戦争がほぼなくなったと言う点で、人類史上きわめてまれな時代である。

 しかしながら、核兵器が普及しすぎてしまい、一部独裁的国家に利用される可能性が高くなった。そしてその標的は、ローマと同じように世界支配を確立したアメリカである。

 アメリカが9.11以後行っている、なりふりかまわぬ戦争の意味がわかったような気がする。


 「ブレイブ・ストーリー」については、全く予備知識なしでした。オークションで落札したペンギン物グッズに、この名前が付いている物がありまして(写真参照)・・・、なんだか興味があり録画しました。

 アニメ自体はまあまあおもしろかったと思います。「ビジョン」世界ですか・・の描写は、アニメならではでしょう。単純な勧善懲悪ではなく、心理描写的に複雑な部分があるのが良いと思います。
 このあたり、「マトリックス」や「指輪物語」などにも少し似ています。

 で、このペンギンは・・・、どうやらライトペンギンというらしいのですが、映画では私が見た限りで、1度しか見えなくて、役回りがよくわかりませんでした。そのずばりライトの役目でしょうか?見終わったらHDDから削除してしまったので、一度原作読むか・・・。

 この映画は民放地上波を録画しました。地上波デジタル放送が本格的に開始されてから、当たり前ですが、民放の映画もハイビジョンなので、たまに録画して見ています。

 もちろんコマーシャル部分はリモコンで早送りしますので、リモコン片手に見ないといけません。(;´_`;)
 


 原題は「The dirty dosen」。ついつい見てしまいました。12人のならず者兵隊を集めて訓練し、ドイツ軍の士官たちが宴会をしているお城を攻撃するというストーリー。1967年の制作ということです。

 前半、ならず者たちを訓練する部分は、特徴的な役者がそろっていることや、ジョークも入った軽快なストーリーで、まあまあおもしろかったのですが・・・。

 後半のお城の攻撃部分は??。 何と言っても、お城の地下にパーティーの参加者(女性も含めて)を閉じこめ、吹っ飛ばしてしまう、というあまりにも?ストーリー・・・。

 いくら敗戦国ドイツ軍が相手とはいえ。やりすぎ。9.11やイラク戦争が進行中の現代では、こんな「大虐殺」の映画は作れないでしょう。

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